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「自遊人、一人静か」なんて言っちゃって

 定年を迎えて、これから、どう余暇を過ごそうか?同期の友人たちの賀状には、それぞれの戸惑いが良く出ている。ピースボートに乗って東南アジアに出かけたり、お気に入りの歌手のリサイタルを仕掛けたり、町内会の会長になったり、それぞれが試行錯誤しながら、毎日を生きている。ぼくの場合はずっと自由業だったから、一貫して「自遊人」「一人静か」に時間を過ごしてきた。だから、還暦になったからといって、大きく変わるところはほとんどない。

 一人っ子だったから、基本的に一人で楽しめることばかりやっている。昔から、みんなで遊ぶことや、マスゲームというのは苦手だった。大学も癖のある、変な人の多い、早稲田の文学部を選んだ。だから映画、コンサート、本などを見ながら、一人楽しく過ごすことが多い。

 08年の映画の収穫はダントツに「レッド クリフ前編」である。黒澤明「七人の侍」を思い出させる冒険活劇で、前編3時間を胸をどきどきさせながら、夢中になってみた。ドラマ部分はありきたりで物足りないところもあったが、活劇部門はすばらしかった。10年に1本の傑作である。早く後編を見たい!

 フランス映画「ピアフ」にも心を揺さぶられた。特にピアフが歌うところが良かった。映画終了後に、下高井戸シネマでパンフレットを買い求めてしまった。家にあるボーズのスピーカーでピアフのCDをよく聞いている。

 TVでは2本、感動したものがある。その一つは、向田邦子原作「父の詫び状」である。   NHKの再放送を偶然、見ているうちに、声を上げて泣き出してしまった。特に杉浦直樹が母一人、子一人の、息子の友人と家族ピクニックに行き、友人の粗末なおにぎりを「美味しい」といってわざと食うところは、涙が止まらなかった。息子の友人に、自分の幼いころを杉浦直樹もぼくも、重ね合わせてしまったのだ。ドラマを見て泣くというのは、めったに無いことだが、この「父の詫び状」だけは例外である。

 もう一本がNHK BS「不法移民」である。これも再放送で、息子に強く勧められて見て、驚愕した。ソリウス・サムラ(64年生まれ)というシェーラレオーネ出身(現在は英国籍)のジャーナリストが自分も不法移民と同じく、アフリカから英国まで潜入した生の記録である。ジブラルタルで本人も乞食をしたところを見て、「そこまでするか」と、鈍器で頭を殴られたようだった。また続いて見たNHK BS「飢餓」で、エチオピアの農民と、ずっとキャベツの野生種だけを食い、体重が見る見るうちに減り、やがて歩けなくなるところは圧巻である。ドキュメンタリーの原点は「体験ルポ」であることを、まざまざと教えてくれた。

 音楽では初台オペラシテイ・コンサートホールで聞いたウラジミル・ミシュク「ベートーベン・ピアノソナタ 月光」と「ショパン幻想曲」等がじつに良かった。感動のあまり「ウラジミル・ミシュク ロマンチック・ピアノ選集」を買ってしまった。また月に1度、オペラシテイではパイプオルガン コンサートを無料で開き、バッハなどを楽しんでいる。

 「自遊人」「一人静か」の極致はやはり読書である。08年は「クリエイティブ資本論ー新たな経済階級の台頭」 (リチャード・フロリダ著 ダイアモンド社)に一番刺激を受けた。原著が出た段階から気になっていたが、英書を読むのは気が重いので、邦訳が出てから改めて読み直した。クリエイティブ・ブクラス、つまり科学者、技術者、芸術家等が、アメリカでは全人口の3割を占め始めている現実を教えてくれる。東京でも同じだと思う。このクリエイテブ・クラスの、これからの生き方が、世の中を徐々に変えていくと思う。

 また「インドの衝撃」 (NHKスペシャル取材班編著 文芸春秋社)、とりわけ超エリートIIT(インド工科大学)の実態、そしてそれに入学するためのトタン屋根の予備校にも、感動した。英国(前)首相ブレアーの「教育、教育、教育」の熱い思いがひしひしと伝わってきた。もともとはNHKスペシャルだったが、あまりの反応に単行本になった。手の付けられない貧困から離陸するために、インドは教育、特にITに投資していることが良くわかる。

 このように笹塚のチャップリンは、映像、活字などで「自遊人」として、「一人静か」に生きている。60の大台を迎えたからといって、急に慌てない。でも、そうとは出来ないことが起こってきた。

 一つは笹塚駅前にある「カルデイ」のことである。駅前商店街でコーヒー、紅茶、ワイン等を女性ばかりで売っているのは良いが、駅前通りを占拠し、店員が通路に立ち、大声で客を呼び込むのである。もともとは大きなチェーンだが、この2,3年、余りにも行儀が悪い。特にぼくは足が悪いので、通りに商品を並べられ、店員が歩行の邪魔をするのが困る。何回も、「通りに商品を並べないで欲しい、通りに店員が立って歩行者の邪魔をしないで欲しい」とお願いをし、京王不動産を呼んで誓約書まで書かせたが、何の効果もない。

 周りのユニクロ、エクセシオールなどはそれほどでもないが、「カルデイ」は悪質である。あるときなど、抗議をすると「恐喝」だと女店員に言われてしまった。20年以上も裁判所に通い、恐喝の裁判を傍聴しているが、「歩行者の邪魔をするな」が恐喝とは度肝を抜かれた。

少なくとも「カルデイ」は露天商とは違う、と思ってきた。しかし、実態はそれ以下である。人を「恐喝」と決め付けたり、抗議のたびにいったんは商品を店内にしまうが、翌日には堂々と通路狭しと並べる。まるで、鼬ごっこをしているようである。

 「自遊人」「一人静か」を決め込みたいが,今日も「カルデイ」との鼬ごっこに、振り回されている。

 もう一つ、心を悩ましているのは、この不景気のことである。渋谷区でも非正規従業員たち、中小・零細の事業者たちが仕事を失い、家賃、毎日の食事に事欠いている。行政はそのためにある。しかるに、渋谷区は年末から4日まですべて休みであった。周りの中野区、杉並区、豊島区などが年末にも「相談センター」を開き、この危機に対応しているが、松崎守福祉保健部長、植竹ゆかり商工観光課長は何もしなかった。1月5日に商工観光課に多くの零細業者が繋ぎ資金のために押しかけて、植竹ゆかり課長はようやく事の重大さが判ったようだ。

 植竹ゆかり課長にはもう一つの疑惑がある。まだ広報課長だったときに、金田一秀穂という研究者(?)を呼んで、30万円を渡している。ぼく自身、金田一秀穂という研究者(?)を知らない。どんな論文があるのか知らない。そもそも研究者といっている以上、タレントのように30万円を受け取るのはおかしい。その30万円は私たちの税金である。もっと詳しく事情を聞こうとしたが、怒られてしまった。でも、おかしい。何か、匂う。

 そんな疑惑の人が、いま緊急救援の責任者である。最悪の人選である。年末、年始と区内の納税者が資金繰りに苦しんでいるときに、植松ゆかり課長は長期の休暇を楽しみ、3月には第3のボーナスを受け取る。おかしいと思うのは、ぼくだけか?

 最後に、「自遊人」「一人静か」と決め込めないものがある。それは単純労務の「白あり公務員」のことである。ずっと書いて来たが、こんな不景気でも年収1000万円以上はいく。清掃、警備、学童擁護等、仕事は驚くほどしない。既得権益になっている。職免、残業等の記録を見れば、絶句するだろう。「同一労働、同一賃金」が基本であるが、同じ調理助手(中卒資格の調理免許を取らない職員が大多数)でも、職員が時給4000円以上だが、民間は約1000円である。明らかに不法である。

 同期の友人たち、教え子たちとたまに会い、飲んでいる限りは「自遊人」「一人静か」の世界を楽しむことは出来る。でも、時には血が煮えたぎることもある。かみさんは「だから、あんたは馬鹿なのよ」と、冷笑するが、今年も「おかしいことは、やはりおかしい」と、言い続けたい。    

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