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渋谷区に住むことは得か?

 渋谷区に住んで30年近くたつが、最近30歳前後の女性たちから住まいについて相談を受ける機会が多いので、自分の体験を書いてみたい。

 渋谷区に来る前は、三鷹市に3年近く住んでいた。三鷹、武蔵野市はイメージは良いが、しかし23区に比べるとやはり貧しい。税収が上がらないことと、市の職員の給料が高すぎ、市民サービスが実に貧弱だった。職員の給料に優先順序が置かれ、図書館が少ないし、みすぼらしい。

 たまたま交通の便が抜群に良い、渋谷区笹塚の駅前の賃貸共同住宅に移り、都下と違い財政の豊かさに驚いた。その驚きは、まず保育園である。横浜市のマンションを買おうとして内金まで払ったが、近くの保育園に行って愕然とした。横浜市の場合、公立が少なく、私立が多い。しかし、その実情は格段に落ちる。保育料も高いが、その割には保母たちはそんなに恵まれていない。そして設備も寒々しかった。

 保育園を見た後に、かみさんはマンション予約をキャンセルした。その保育園に関しては渋谷区はお勧めである。過去3年間、待機児数の推移を見ると、06年45人、07年32人、08年29人で、ほぼ全入である。保育課はこの数字を公表することに難色を示していた。周りの区から参入が増えるからである。

 事実、息子が通っていた笹塚第2保育園では、保育事情が悪い、近くの世田谷区の子どもたちがいた。渋谷区はそんな他区の子どもを受け入れる余裕がある。子どもを保育園に預けて、かみさんが安心して働きに出れることで、我が家では大助かりであった。そして、保育園の父兄会もぼくは楽しかった。和気藹々、大学職員、中野区職員等、さまざまな階層の住民たちと語り合え、渋谷区に移って良かったと、実感した。また、保母、園長も渋谷区職員で厚遇されていた。その分、子どもや父兄にも優しかった。

 次に納得したのは小・中学の公教育である。私立中学進学が50%を越え、渋谷区住民は全国で一番、公教育を見限っている。確かに教育委員のお粗末さは失笑するしかない。高齢の医師、歯科医、PTAのおばさん、それに福祉ではぼくも一目置くが教育が場違いの教育長等が渋谷区の教育を牛耳っている。レベルが極端に低すぎる。毎月、会議をするのはいいが、現実に私立中学進学の波は止めようがない。もっと壮年の男性弁護士、大学教授を入れないと、「老人、おばさんの井戸端会議」になる。

 教育委員のお粗末さに比べ、教育委員会の指導主事には脱帽した。前指導主事は東京女子大で西鶴を学んだ50歳代の女性だったが、彼女の熱心な教育論には舌を巻いた。現在、他区の中学校で校長をしていると聞いているが、ぜひ渋谷区の中学に戻ってきて欲しいと思う。また、笹塚中学の社会科の先生の授業で、息子は世界史の近現代の面白さに目覚めたようだ。ベルリンの壁は何故、崩壊したのか、社会主義は何故嫌われたのか、かみさんやぼくに突っかかってくる。しかし、この先生は定年まで出世できないだろう。「君が代」「日の丸」に協力的ではないから。現場の先生たちに余計な負担をかけてはいけない。

 渋谷区の公教育、表層はお粗末極まるが、基層、特に現場の教師たちに関しては、保育園と並んでお勧めである。年間、100万円近くも学費を払って、帝京、国士舘などの私立中学に入れる必要はない。

 そして図書館。子どもが保育園、小・中学校を終えれば、渋谷区とは余り関係がなくなる。ただ図書館だけはずっと付き合うことになる。三鷹市の図書館も数が少なく、そして不便だったが、渋谷区は数はまあ、まあある。問題は職員の司書の数が少なすぎることだ。その司書資格を持っていても給料に反映されることはなく、出張所の事務に急に回されることもある。その反面、司書資格のない50歳代のおじさんが図書館長になり、その余りの知性のなさに利用者から冷笑されることもある。笹塚図書館長はそのぶん、利用者の声に耳を傾け、歴代謙虚である。

 でももう一つ、問題がある。図書館の予算が1割削減されていることだ。笹塚図書館では、月刊誌「世界」の購読が廃止になり、5000円以上の単行本は事実上、購入は無理である。その反面、便所掃除の単労は1000万円近い年収を切られることはない。ちなみに、笹塚図書館の図書購入費は年間、約800万円である。

 さまざまな問題を渋谷区は抱えている。しかし、渋谷区は日本で三番目に豊かな自治体である。週刊ダイアモンドが06年に調べたところでは、港区、中央区についで一人当たり税収がある。ちなみに第四位は兵庫県芦屋市である。その豊かさが渋谷区民に実感されないのは、自分たちの地域に住民が余り興味を持たない、つまり無関心だからである。

 何回でも繰り返すが、「金持ち、喧嘩せず」。これが渋谷区民の本音である。区議会議員、区長選挙投票率は約40%。その反面、衆議院、参議院投票率が約60%。国政に比べ、身近な区政への無関心。だから自分の学歴を明かさず、区民にすぐ怒鳴る(ぼくも分科会を傍聴していて、怒鳴られた。ヤクザみたいなおじさんである)自民党区会議員ー彼は最近選挙カーのガソリン代を追及されているーが睨みをきかしている。しかし、区議会はまだ4年に1度の選挙の洗礼がある。たちの悪いのは「白あり公務員」たちである。

 昨日、職員課長黒柳と、ある清掃職員の「職免」(職務専念免除願)のこの5年間分を、精査することになっていた。あれほど電話で念を押していたにもかかわらず、08年分しか用意してこなかった。この職員は職場に来ず、組合大会、組合本部に行っていることが異様に多い。ヤミ専従の疑いがあると思っている。しかし、黒柳課長は証拠を持ってこない。

 また残業等の記録を取り寄せると、運転手たちがおびただしく超過勤務している。そして、清掃の職員たちが「住民指導」という名目で信じられないほどの残業をしている。そもそも単労に「指導」されることは納税者はない。何か、勘違いをしている。私たちの税金はこれら単労の人たちの残業代に食われていく。住民が豊かさを実感できないわけである。

 何回も繰り返すが、渋谷区にはさまざまな問題が山済みされている。区議会議員の一部の顔ー粗暴さがもろに出ているーを見ると哀しくなる。そして我が家に「お母さんが交通事故です」と、嫌がらせの電話をかけてくる単労を軽蔑する。しかし、それ以上に渋谷区は豊かであり、そして安全だということを力説したい。足立区に比べれば新築マンションの価格、賃貸マンションの家賃は2,3割は確実に高い。しかし、その分、安全である。

 20年以上も東京地裁刑事法廷で傍聴を続けているが、被告は大抵が足立区、葛飾区、北区に住んでいる。その地域は窃盗、暴行などの単純な粗暴犯が多いところである。家賃の安さのつられて、そこに住むと思わぬトラブルに巻き込まれることがある。特に若い女性は気をつけたほうが良い。被害者になって始めて、治安の大切さが実感できる。

 私たちは群れて生きていた方が危険が少ない。渋谷区に住むということは多少、家賃、物価が高いが犯罪にあうことは少なく、そして、保育園などで豊かさを実感できることである。

 

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