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ポストマンの年金

 毎週、金曜日にリハビリをしている。病気の後遺症で、右足が年とともに萎えてくるので、必死に鍛えるために自転車漕ぎしている。10分、ひたすら漕ぐと、ぐったりする。そしてその後に、お茶を飲みながら、渋谷区のリハビリ仲間とおしやべりをする。日ごろ、自宅で本を読んだり、パソコンに向かうことが多いので、同時代の元左官屋さん、大学の大先輩である元損保の総務部長、そして元ポストマン(郵便配達夫)の人たちのお話を伺うことは、すこぶる新鮮である。

 とりわけ、ポストマンの話は考えさせられた。彼は定時制高校に通いながら、つい最近、病気で倒れるまで、渋谷区で郵便物の配達をしていた。 まさに「一生涯、一ポストマン」である。現在、独身。小柄で、おとなしく、気配りがあって、気持ちのいい人である。左手が悪いらしく、ぼくが自転車漕ぎをしている隣で、左手を懸命に上げていることが多い。

 昨日(11月28日)、退職金の話に及んだ。ぼくら自由業は退職金とは縁がないので、バブル崩壊直後、まだ金利が5,5%の時期に、郵便局の15年物の簡保にかけこみで全期前納している。簡保の満期が退職金だと、勝手に思っている。

 ポストマンの退職金は約1800万円。この額は郷里の信用組合課長ぐらいである。しかし、毎日新聞解説委員よりは多い。同期は最後の最後まで、金額を明らかにしない。「恥ずかしい」からだそうだ。

 だったら、渋谷区の単労(清掃、警備、学童擁護などの単純労務職員)の約2300万円の退職金はどうなる。もう一つ、びっくりしたのは、ポストマンの年金が月15万円のことだった。40年以上、朝早くから晩遅くまで、郵便物を雨、雪の日にも配達して、15万円とは少なすぎる。

 母は郷里で映画館で働き、55歳から月17万円の年金を受け取っていた。母よりも少ない年金の額に愕然とした。「現場の郵便配達の連中はこんなもんですよ」。しかし、当の本人はもう、達観している。

 それを裏づける資料がある。平成20年10月16日に東京都人事委員会が公表した「平成20年人事委員会勧告等の概要」である。(4)技能(筆者注 単労)系職員の給与は民間単労従業員の平均給与が338,915円(49,6歳)に対し、東京都の単労職員は389,066円(46,1歳)となっている。平均年齢が3歳以上低いにもかかわらず、給与では5万円も高いのである。そして、参考にポストマンたち、国家公務員単労職員の平均月額が掲載されている。320,623円(48,9歳)これは元ポストマンが、定年近くにもらっていた額にほぼ重なる。

 退職金の額は給料の額に比例しているから、ポストマンの年金は月15万円でも仕方がない。しかし、同じ単労でも、渋谷区の清掃(地方公務員)と、国家公務員の郵便配達夫とは違う。ちなみに、渋谷区の清掃は月24万円以上の年金を受け取る。その半額は私たち住民が負担する。

 中国共産党の幹部が来日するたびに「日本は成功した社会主義国家」だと、決まり文句のように誉める。初めは、何を言っているのかよく分からなかった。清掃、警備、学童擁護などの単純労務、下級公務員たちの厚遇ぶり、高給のことだと気がついたのは最近のことである。

 しかし、その中国も大きく変わってきた。日本もこのサブプライム、リーマンショックをもろに受け、派遣、期間工が3万人以上解雇される。公務員、とりわけ、単労たちがいくら「既得権」だからといえ、こんなに優遇されて良いんだろうか?

 郷里では中学の同級生が、信用組合を早期退職させられ、下請工場でフォークリフトの運転手をやっている。そして、リハビリ仲間はポストマンを40年以上も勤め、年金が月15万円である。同じ公務員でもこうも違うのか!

 渋谷区民の特徴は「金持ち、喧嘩せず」である。しかし、静かな憤りは、既得権にしがみつく警備、児童擁護のおじさん、おばさんたちを前にして、やがていつか沸点に達するだろう。

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